お腹のチカラ

 

レッスンの始めには「望み」を、終わりには「質問」を皆さんに聞く事にしています。

 

「さあ、今日はどんな事を?」

 

練習意欲、向上心の強い生徒さん達です。前のレッスンで出しておいた宿題もこなし、レッスン中で私からの問いかけにも明晰な言葉で答えてくれます。

ある生徒さんから「高い音でも固くならず豊かな響きで吹きたいんです!曲の中でそう吹きたいんです。どうしたらいいでしょうか?」と質問がありました。

 

とても音楽的な質問ですね。生徒さんの音楽への「望み」を強く感じて嬉しくなりました。

 

上のFを吹いてもらいました。確かに詰まったような、少し窮屈な音がしますね。自分でもよく分かっているようで、歯がゆさがその表情に現れています。
吹いている姿全部を良く観察していきます。なるほど。

 

アタマが動いてカラダ全部がついてきて。

 

私が上のFを含む簡単なメロディを吹きました。気持ちを込めて。

「こんな感じはどうですか?」

「いいですね!」

「私のお腹はどんな感じになっていますか?」

「動いていました」

 

今度は私が生徒さんのお腹を手で触れて、吹いてもらいます。

果たして息を吸う音が聞こえても、音が出てもお腹は動きませんでした。

これは皆で確認したい事ですね。

 

楽器を置いてもらいました。

「ではお腹を固めてそれから息を吸ってみてください」「…」

「次はお腹を固めて息を吐いてみてください」「…」

 

「どうでしょうか?」

「先生、苦しいです」

「そうですよね。お腹を固めるのではなく、動かして使いましょう」

「動かす?チカラをいれるんですよね?お腹で支えるんですよね?」

 

熱心なこの生徒さん達は、もしかして「〜呼吸法」のようなものを考えているのかもしれません。

 

簡単な事を試してみます。

「さあ、深呼吸を何回もしてみましょう!」

スムーズな息の出し入れで、お腹が動き始めました。そのまま深呼吸のつもりで吹いてもらいます。

 

伸びやかな音!

聞いて頂いている顧問の先生の驚く顔が印象的です。

 

「次は音をイメージして2拍吹いてみましょう。自分の音をよく聴いて」

伸びやかさはそのままで、安定が加わりましたね。

 

「あぁ!」という歓声と共にみんな笑顔になりました。

音を聴けていれば、息の流れのコントロールは皆の頭がしているのですよ。

 

よかった。

身体の使い方で響きが変わっていくのを実感してくれたようです。

 

レッスンが終わって、歌いながら楽しそうにかたずけています。

僕も歌いたくなりましたよ。ありがとう。

LINEで送る
Pocket