記憶が曖昧ですが、トロンボーンに憧れたのは小学六年生くらいだったと思います。鼓笛隊でトランペットやバリトンを吹いていたのですが、スリムで面白い事のできる(グリッサンド!)トロンボーンを羨ましく見ていました。
小学生や中学生ですと身体が成長途中で、どうもトロンボーンは持ちやすい楽器とは言いにくいようです。しかし、そんな事は気にせずに握りしめて「何か」が起こっている場合があります。
僕もはたして上手く?持てているかどうか。
トロンボーンセクションのレッスンを初めてご依頼頂いた時に、当然なのですが、必ず行うと決めている事の一つに「楽器の持ち方構え方」があります。よく出会うのは、肘を左右に大きく開いて構えている方です。生徒さんに多いように感じます。何だか堂々として立派に見えますね。
こんな時、二つの事を生徒さんと一緒に試してみます。
アタマが動いてカラダぜんぶがついてきて。
「楽器を持たないでその肘の位置にしてみましょう」もちろん皆さん上手にできます。「楽器を吹くようにブレスをしてみましょうか」勘のよい生徒さんはココで「アッ」という表情になります。
どうも息苦しいようですね。
腕を下げて、肘を伸ばして荷物を持ってもらいます。今ではないと思いますが、バケツを持って廊下に立たされている感じです。そして今度は持ったまま腕を横に上げて、荷物が身体から離れるようにしてもらいます。「どちらがラクですか?」生徒さん達はもう笑っています。分かってもらえてよかったです。
もちろんこれらの事には、身体全部の「動き」対する、注意深い観察が不可欠です。
「腕ぜんぶで楽器を持ち上げてマウスピースを口にくっつけましょう」部屋には?マークが飛び交っています。腕ぜんぶ??
自分で右腕を動かしながら、右の鎖骨を触ってもらいます。2人1組になって、相手の肩甲骨の辺りやその下の方まで触れて、腕を動かしてもらいます。
「あ、動いてる!」
「なんだ?」
「おー!」
と歓声が上がります。
なかなかに楽しい動きの観察のようです。「腕ぜんぶ」の動きをみんなで実感しました。
そして私が動きを補助しながら、「腕ぜんぶで楽器を持ち上げてマウスピースを口にくっつける」と思いながら楽器を構えてもらいました。その後の響きの変化には、いつもながら驚かされます。
そしてみんな笑顔です。
みんなを明日へとつなぐ笑顔となりますように。