大会前のクラリネットレッスン

間近に迫った大きなコンテストに向けてのレッスン。クラリネットアンサンブルでした。

ひとり一人の様々な望みをお聞きして。姿勢、構え、姿勢、呼吸、指、脚などなど。とても大切な事です。

でもそれは、美しい枝葉。

大きな幹はその方の存在。そこにある、その存在とその思いをただひたすら眺めていく。私ぜんぶで。

個人レッスンと全体のレッスンで長時間になりましたが、途切れぬ思いに浸りきった時間でした。最後の演奏は、立体的な音のパレット、一人ひとり自ら溢れ出す音楽。

身震いが止まらず、駐車場で気持ちを落ち着かせ帰路につきました。

音楽は一期一会、更に自分の使い方に磨きをかけて、素晴らしい世界を聴かせてくれるでしょう。

自分に会いにいく

皆口々に「緊張したー」と言ったり、悔しがっていましたが、本番の演奏は「やりたい事」の見える、なかなか良いものでしたよ。各人とも最後のレッスンよりもパワフルな演奏で、キャラクターをしっかり感じ取れる音と音楽を受けとりました。

「感じている緊張はいいパフォーマンスのために絶対必要なんだよ」とおまじないの様に伝えているのが、少しは効いていますかね。

音楽はその人の思いを以って、練習と時を経て、発酵し熟成していくようです。変化していく演奏、そしてその人。その傍にいられる事は本当に幸せですね。

音楽を伝える事、その技術(方法)を伝える事、そして何より、その人の「望み」のために自分の力を尽くす。悔しがる様子を眺めながら「それが自分のレッスンなんだな」と。

「望み」に沿うために大切なもの、私が今読んでいる本から大きなプレゼントをいただいている気がします。

その話はまだもっとずっと先に、少しづつ。

おしまい。

悩みは同じでも解決方法は違う

トロンボーンの個人レッスン、お題が6人中3人が、中低音域の音がいわゆる「潰れて」しまう内容でした。

悩みは似ていますが、望みに向かう解決方法は各々違った方法。

歯並びや噛み合わせ、唇の形状や顎や表情筋の動かし方、アンブシュアのスタイルや息の流し方、何より自分の使い方が違うのだから当然ですね。

吹いてもらいながら、アンブシュアと息のバランス、身体の使い方をじっくり観察。そして望んでいる音や音楽について話し合う。

可能性を示し、方向を導く事で、自ら歩み進んでいく姿。

本当に素晴らしいです。

この、お題は同じでも異なる方法で望みに近づいた事、改めて記したいと思います。

雑感 ヨルゲン・ファン・ライエン×マクミランの協奏曲

先月にRCO首席トロンボーンJörgen van Rijen をソリストに迎えた、都響定期演奏会を聴きました。

その時の心。

何度か文章化を試みたのですが、このままを残したい思いました。

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美しい響きもテクニックも、それが音楽のための手段に過ぎないという事。

それすら思い浮かばず消え去り、心の中のもっと奥深く、もしかしたら心ではない何かに、音楽が触れて震えている。

オーケストラの響きの中をトロンボーンソロが立体的にさまよい、時に加速し立ち止る。

トロンボーンセクションと向かい合った掛け合い、私はその辺りからどんどん胸が苦しくなってきた。吐露、叫び、嘆願、希望。様々な感情がないまぜに塊で飛び出し、それが空間を飛び交う。

音のない声。

形式は世界と感情を呼び覚ます装置だった。

私は震えていた。

力を抜く?力を使う?

あるトランペット奏者の方とのレッスン。

高音が思った感じに上手く鳴らない、開いた薄っぺらな音になってしまうというご相談でした。

音というのは面白いですね。

形も見えないのに「薄い」などと表現する。

もちろん、仰りたい事は十分に伝わってきますよ。

何はともあれ、聴かせて観させて頂きました。

高音のFからGにかけて、しっかりと音が響いています。

しかし、もっとあたたかで豊かな響きを望んでおられるようでした。

なるほど。

私は「アンブシュア全体の力をより使う」「閉じた唇の中心への圧縮を意識する」事をご提案しました。

「え!?」という表情をされました、が試して頂けました。

ご自身のアンブシュアの理解が深い事と、求めている響きが明確だった事もあり、すぐに豊かで丸みのある響きが鳴り響きました。

望みの音に近づいたようですが、不可解な表情で「あー?!」と。

お話を伺うと、ご自身では「唇の力をより抜こう」とお考えになっていたようです。

私がご提案して実践して頂いたのは「より力を使う」方向。

イメージされていた音を吹くための「息」と「口」のパワーバランス、力の使い方の方向を掴んで頂けたようです。

これからが楽しみですね。

*あくまで個人様の奏法を観察した上でのパーソナルレッスンです。

腕ぜんぶ?

 

記憶が曖昧ですが、トロンボーンに憧れたのは小学六年生くらいだったと思います。鼓笛隊でトランペットやバリトンを吹いていたのですが、スリムで面白い事のできる(グリッサンド!)トロンボーンを羨ましく見ていました。

 

小学生や中学生ですと身体が成長途中で、どうもトロンボーンは持ちやすい楽器とは言いにくいようです。しかし、そんな事は気にせずに握りしめて「何か」が起こっている場合があります。

僕もはたして上手く?持てているかどうか。

 

トロンボーンセクションのレッスンを初めてご依頼頂いた時に、当然なのですが、必ず行うと決めている事の一つに「楽器の持ち方構え方」があります。よく出会うのは、肘を左右に大きく開いて構えている方です。生徒さんに多いように感じます。何だか堂々として立派に見えますね。

こんな時、二つの事を生徒さんと一緒に試してみます。

 

アタマが動いてカラダぜんぶがついてきて。

 

「楽器を持たないでその肘の位置にしてみましょう」もちろん皆さん上手にできます。「楽器を吹くようにブレスをしてみましょうか」勘のよい生徒さんはココで「アッ」という表情になります。

どうも息苦しいようですね。

腕を下げて、肘を伸ばして荷物を持ってもらいます。今ではないと思いますが、バケツを持って廊下に立たされている感じです。そして今度は持ったまま腕を横に上げて、荷物が身体から離れるようにしてもらいます。「どちらがラクですか?」生徒さん達はもう笑っています。分かってもらえてよかったです。

 

もちろんこれらの事には、身体全部の「動き」対する、注意深い観察が不可欠です。

 

「腕ぜんぶで楽器を持ち上げてマウスピースを口にくっつけましょう」部屋には?マークが飛び交っています。腕ぜんぶ??

 

自分で右腕を動かしながら、右の鎖骨を触ってもらいます。2人1組になって、相手の肩甲骨の辺りやその下の方まで触れて、腕を動かしてもらいます。

「あ、動いてる!」

「なんだ?」

「おー!」

と歓声が上がります。

なかなかに楽しい動きの観察のようです。「腕ぜんぶ」の動きをみんなで実感しました。

そして私が動きを補助しながら、「腕ぜんぶで楽器を持ち上げてマウスピースを口にくっつける」と思いながら楽器を構えてもらいました。その後の響きの変化には、いつもながら驚かされます。

そしてみんな笑顔です。

 

みんなを明日へとつなぐ笑顔となりますように。