手紙

教え子がまた一人、巣立っていきました。

決しておしゃべりではない彼女から、長い長いお手紙を頂きました。

そこには入学してから今までの、心の内の軌跡が綴られており、それを読みながら、一緒に取り組んだ曲のレッスンがよみがえりました。

音作りや曲想について話すと目を輝かせ、自分がうまくいかない時はよく泣いていましたね。

自分はその時々に、精一杯考えて指導をしているつもりです。もちろんこれからもそうしていきます。しかしそれがよかったのか?それでよかったのか? 別れ多いこの季節に、生徒さん一人一人の顔を思い浮かべると、交わした会話やその時の表情が浮かんできて、自問自答しています。

そんな事を見透かしてか、手紙には下記のような私を励ます言葉がありました。

周りの人間に優しくできる、彼女らしい心遣いを感じました。

「今までやったパウデルト、ギルマン、シュレック、グラーフェ、ヨンゲン、そしてアッペルモントのカラーズは先生との思い出の曲です。先生の音や世界観は絶対に忘れません。自分の人生に音楽は欠かせないと気付かせてくださった先生へ恩返しをするため、もっと音楽を好きになって勉強して長く続けていこうと思います。そして私のような経験をして音楽を楽しいと思ってもらえる人を増やしていきたいです。私に音楽の楽しさを教えて頂きありがとうございました。」

お礼を言うのは僕の方です。

新しい世界で羽ばたいてくださいね。

応援していますよ。

悩みは同じでも解決方法は違う

トロンボーンの個人レッスン、お題が6人中3人が、中低音域の音がいわゆる「潰れて」しまう内容でした。

悩みは似ていますが、望みに向かう解決方法は各々違った方法。

歯並びや噛み合わせ、唇の形状や顎や表情筋の動かし方、アンブシュアのスタイルや息の流し方、何より自分の使い方が違うのだから当然ですね。

吹いてもらいながら、アンブシュアと息のバランス、身体の使い方をじっくり観察。そして望んでいる音や音楽について話し合う。

可能性を示し、方向を導く事で、自ら歩み進んでいく姿。

本当に素晴らしいです。

この、お題は同じでも異なる方法で望みに近づいた事、改めて記したいと思います。

雑感 ヨルゲン・ファン・ライエン×マクミランの協奏曲

先月にRCO首席トロンボーンJörgen van Rijen をソリストに迎えた、都響定期演奏会を聴きました。

その時の心。

何度か文章化を試みたのですが、このままを残したい思いました。

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美しい響きもテクニックも、それが音楽のための手段に過ぎないという事。

それすら思い浮かばず消え去り、心の中のもっと奥深く、もしかしたら心ではない何かに、音楽が触れて震えている。

オーケストラの響きの中をトロンボーンソロが立体的にさまよい、時に加速し立ち止る。

トロンボーンセクションと向かい合った掛け合い、私はその辺りからどんどん胸が苦しくなってきた。吐露、叫び、嘆願、希望。様々な感情がないまぜに塊で飛び出し、それが空間を飛び交う。

音のない声。

形式は世界と感情を呼び覚ます装置だった。

私は震えていた。

腕の使い方と響きの関係?

久々のBlog更新は音大に通うトロンボーンの方とのレッスン。

そう言えば2月にアンサンブルをしたので半年ぶりですかね。

 

ソロを聞かせてもらいましたが、音と音楽への望みの高さを感じる演奏です。素晴らしい!

ペダル音域からはじまる速いアルペジオ、難しいですね。テナー吹きの僕にはできませんね!

 

でもね、もう少し響きが綺麗に並んでくれるともっと良いのにな。本人も吹にくそうにしていますね。

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響きと構え

 

演奏会を控えている生徒さんのレッスン、曲は明るさいっぱいのF-durのソナタです。

今日はピアノ伴奏してくれる生徒さんと一緒で、より立体的な音楽創りが出来ますね。

何度目かのレッスンですが、回を重ねるごとに音楽に表情もついてきて、安定感も出てきました。

 

私はレッスンを通して「今はどうでしたか?」という問いかけをよくします。

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腕ぜんぶ?

 

記憶が曖昧ですが、トロンボーンに憧れたのは小学六年生くらいだったと思います。鼓笛隊でトランペットやバリトンを吹いていたのですが、スリムで面白い事のできる(グリッサンド!)トロンボーンを羨ましく見ていました。

 

小学生や中学生ですと身体が成長途中で、どうもトロンボーンは持ちやすい楽器とは言いにくいようです。しかし、そんな事は気にせずに握りしめて「何か」が起こっている場合があります。

僕もはたして上手く?持てているかどうか。

 

トロンボーンセクションのレッスンを初めてご依頼頂いた時に、当然なのですが、必ず行うと決めている事の一つに「楽器の持ち方構え方」があります。よく出会うのは、肘を左右に大きく開いて構えている方です。生徒さんに多いように感じます。何だか堂々として立派に見えますね。

こんな時、二つの事を生徒さんと一緒に試してみます。

 

アタマが動いてカラダぜんぶがついてきて。

 

「楽器を持たないでその肘の位置にしてみましょう」もちろん皆さん上手にできます。「楽器を吹くようにブレスをしてみましょうか」勘のよい生徒さんはココで「アッ」という表情になります。

どうも息苦しいようですね。

腕を下げて、肘を伸ばして荷物を持ってもらいます。今ではないと思いますが、バケツを持って廊下に立たされている感じです。そして今度は持ったまま腕を横に上げて、荷物が身体から離れるようにしてもらいます。「どちらがラクですか?」生徒さん達はもう笑っています。分かってもらえてよかったです。

 

もちろんこれらの事には、身体全部の「動き」対する、注意深い観察が不可欠です。

 

「腕ぜんぶで楽器を持ち上げてマウスピースを口にくっつけましょう」部屋には?マークが飛び交っています。腕ぜんぶ??

 

自分で右腕を動かしながら、右の鎖骨を触ってもらいます。2人1組になって、相手の肩甲骨の辺りやその下の方まで触れて、腕を動かしてもらいます。

「あ、動いてる!」

「なんだ?」

「おー!」

と歓声が上がります。

なかなかに楽しい動きの観察のようです。「腕ぜんぶ」の動きをみんなで実感しました。

そして私が動きを補助しながら、「腕ぜんぶで楽器を持ち上げてマウスピースを口にくっつける」と思いながら楽器を構えてもらいました。その後の響きの変化には、いつもながら驚かされます。

そしてみんな笑顔です。

 

みんなを明日へとつなぐ笑顔となりますように。