打楽器の方とのレッスン

打楽器の方との探究は、とても興味深い内容で且つ、私自身のレッスンスタイルを再認識する機会となりました。

ご要望は、バスドラムを叩いた時の音、いわゆる皮の部分を叩いた時の直接的な音と、その後に響く音がくっついていない、タイムラグをなくしたい!というものでした。

なるほど。

曲の中で1発「ボンッ」と瞬間的にバスドラムが響く音は、迫力と説得力がありますよね。

早速、演奏を見せて頂きます。

ゆっくりした頭打ち。一つ一つの動きに心配りがあり、音に対する丁寧な思いを感じる演奏ですね。ご自分がやりたい音楽と演奏をよく分かっていらっしゃると感じました。

お話を伺うと、ご本人は叩く前の「予動」が気になるようです。

演奏を拝見して、まず叩いた瞬間にマレットが受ける衝撃を、心の中で「繊細に」言葉にしてみる事をご提案しました。そしてそれが、マレットからどのように指先から身体に伝わって、音全体と繋がるか、観察するのを楽しんでみる事を、合わせてお伝えしました。

だいぶ面白がってくれているようです。音も変わってきました。

背中から腕全部の使い方、肘から指先にかけてのドアノブを回すような動き、胸鎖関節と肩甲骨の動きについて、どのような構造でどんな動きをするのかを、一緒に確認してもらいました。

そして今までのことを思って再度演奏して頂いたところ、はじめの堅実ではあるがやや硬く、立ち上がりの遅い音。それが瞬発力のある打音と接着した響きに変わっていました。ピッチも変わりましたね。

ご本人も「あ、変わりました!」

なるほど。望まれていたのはこの響きだったのですね。

個人的な感触としては、音がグレーから澄み渡るブルーに変化した感じです。

私自身の打楽器の経験は、小学校の時のトライアングル程度。後はアンサンブルなどで持ち替えの太鼓、ラプソディの拍子木くらいです。

私が拝見しているのは、演奏されている方の「動き」です。

その動きを観察し、奏者と共に探究して「望み」に近づいていきます。

「望み」は演奏する方の大切な思い。

その「思い」のためのレッスン。

改めて、この考えを強くした経験でした。

ありがとうございました。

*あくまで個人様の奏法を観察した上でのパーソナルレッスンです。