ある生徒さんのレッスンのお話です。
いつものように生徒さんの「望み」を聞きました。
さあ、今日はどんな事を?
その生徒さん曰く「僕はもう音です、音ですよね!」その生徒さんは「自分が奏でる音」に不満を持ち続けています。
「先生、僕の音ダメですよね?」
他の先生にも指摘されたようでとても気にしています。
「ダメなことはないよ」
「え?え?でもダメですよね?」
幾度となく繰り返されたこのやり取り、どうしてもダメと言って欲しいようですね。
そんな事ないんですよ。
彼のトロンボーンへの情熱は本当に熱く、時間を見つけては練習をしています。ですから人一倍に思い込んでしまうのでしょうか。何とか望みに向かって行くお手伝いをしたいです。
「どんな音で吹きたいの?その音は頭の中で鳴ってるの?」
しばらく考えて。
「鳴っています、豊かで太い音です」
自分の吹きたい音は分かっていますね。
まず、エコー・ニューロンに手伝ってもらう事にしました。私の音で上手くそれが働きますように。
頭が動いて身体が全部ついてきて。
吹きやすい音を、何回も何回も何回も、交互に吹いていきます。かなりしつこいですが、一音一音に気持ちを込めて。
少しずつ響きが変わってきたようです。響きが伸びていきます。
彼の気持ちが、息の流れに乗って響いていきます。
これを明日に繋げて、自分一人でも響かせたいですね。そのためにもヴィヴィアン先生に教えて頂いた呼吸の練習「OFF」を再確認しました。
あなたの「音」は月日とともに変わっていきます。それはあなたが「育ている」と言えるかもしれません。
あなたの日々の心が。
今は不満かもしれません。気に入らないかもしれません。それでもあなた自身が「あなたの音」を大切に大切に育て続けていければ、あなたの望む音は響きます。
どうしていいか分からなくなったら、私がいますよ。
あなたの音を大切に。